地域密着型特別養護老人ホーム・短期入所生活介護「第二幸楽荘」
施設長ブログ 心にうつりゆくよしなし事を、そこはかとなく書き綴ります。


平成21年の施設長ブログ


■生き甲斐って大事
2009/1/19
 下の子ども(小学6年)が野球をしていることからここ1年余、土日が休みの日はほとんど野球(と言っても球拾い、審判、遠征時の送迎であるが)に時間を費やしてきた。決して強いチームではなかったが、素直で優しい子の多い良いチームであった。
 たった一度だけ、息子が本気で辞めたいと漏らしたことがあった。「ダメだ。辞めさせん。絶対に後悔するから最後までやり通せ。」と突っぱねたが、実は私自身、週末の楽しみを無くしたくなかったからである。
 おかげで家でゴロゴロすることや無用な外出による無駄な出費も減り、体重も幾分減少するとともに持病の咳ぜんそくもこの1年間は姿を現さなかった。
 そのささやかな生き甲斐とも言える野球も1月25日の卒団式をもって終了とあいなる。
さぁこれから土日の休みは何をして過ごそうか。

■ありがたい“お言葉”
2009/1/26
 書籍のベストセラー、ロングセラーの常連に自己啓発本がある。
何処の書店にも自己啓発コーナーが設けられており(当施設の研修室内にもコーナーがあるが)活字離れ・読書離れが進んでいると言われる中にあって、かなり売れているらしい。
“夢をかなえるゾウ” “女性の品格” “親の品格” “悩む力”これらは昨年、売れに売れた自己啓発本である。たまに、「これじゃぁいかん」と思い立っては買い求めるも継続性のないのが成長しない理由でもある。
 昨年の秋、何気なくテレビを見ていて面白い番組に出逢えた。『カンゴロンゴ』という番組である。(NHK総合日曜 23:00〜)平幹二朗扮する世直しおじさんが、漢文の“お言葉”を武器に現代社会の悩みに立ち向かうミニドラマ仕立ての番組なのだが、毎回3つの“お言葉”が示される。根が単純なのか、見終わった後でなんとなく有難い気持ちになってしまうのである。(ちなみに昨夜の主人公は、田中コウジ君であった為、いつもより有り難く感じてしまった)

■『他力本願』って
2009/2/3
 常々職員に、
「良い施設と悪い施設の差は意識レベルの差である。良い施設は常に “何とかしよう” “どうすれは出来るか”を考えるが、悪い施設はすぐに “何とかしてよ” “出来ません”という言葉を用いる。他力本願ではダメだ。常に何とかしようと考える意識レベルの高い職員になろう。」と言ってきた。ところが先日、他力本願の反対語を調べようとして、他力本願そのものの意味を間違って理解していることに気づいた。
 他力本願とは浄土仏教からきた言葉であり、『他力』とは阿弥陀如来の力のみを指し、『本願』とは仏自信が立てた願いを指すのだそうだ。
 つまり他力本願とは、阿弥陀如来の願力により我々は生かされ、浄土へ往生することができるという意味であって、他人に依存するという意味ではないらしい。
本来の意味を知っている職員がいたら、「施設長、それは違う」と思ったに違いない。
これからは「他人任せはダメだ」と言うようにしよう。

■花も実も根の力
2009/4/7
 スケールメリットの少ない小規模施設ではコスト削減に向けて、自分達でできることはできるだけ自分達で行っている。植栽や草花の手入れもその1つであるが、毎日水を遣り観察していると草花にも命があることが実感でき愛着も湧いてくる。
 昨年の初夏に開設し、最初の冬を越え、今春当施設で初めて芽を出し花を咲かした植物も多い。
 昔、ある寺の前を通りかかった時、門前に “花も実も根の力” という言葉が書かれてあった。お寺さんの教えとしては、「表に現れないもののおかげで綺麗な花や実をつけるのだ=感謝しなさい」であろうが、「足元・基礎がしっかりしていないと花や実も咲かないよ=しっかりしなさい」とも採れる。
さしづめ、今の当施設は後者であろう。

■商売繁盛
2009/6/8
 当施設玄関前の車寄せにツバメが巣を作った。ちょうど1年前、当施設にとっての入居者第1号もツバメだった。昔からツバメは人が住む賑やかな環境に営巣する習性から、人の出入りの多い家、商家の参考となり、商売繁盛の印とも言われているとのこと。玄関先は多少汚れるが、商売繁盛と聞いては駆除できない。共存共栄といこう。

■和顔施
2009/6/21
 19・20日と福岡にて全国新型特養推進協議会主催の全国研修大会が開催され参加させて頂いた。初日の基調講演、国際シンポジウムに次ぎ、2日目はさまざまな分野に分かれての分科会。私は「ストレスケア〜職員のストレス環境改善〜」をテーマとした分科会に出席した。新しい情報や発見、キーワードに出逢えることが研修の楽しみでもあるが、幾つかの施設が実践報告をする中で、進行役の座長が発した「和顔施(わげんせ)」という言葉が耳に残った。早速帰宅後インターネットで調べてみると、仏教の教えにある、地位や財産がなくても誰もがいつでも人に与えることができる『無財の七施』の中の1つであるという。
 誰かの笑顔を見ていると気持ちが明るくなるように、いつも和やかで穏やかな笑顔で人と接すると、それだけで相手に安心感と幸福感を与えることができるという教えである。
 眉間にしわを寄せて、溜息つきながら財務諸表とにらめっこでは自他ともにストレスは溜まる一方かも。

■復旧・復興を願う
2009/7/24
 21日に中国地方を襲った豪雨により、山口県防府市の特養が土石流に巻き込まれ、多数の入居者の尊い命が奪われた。特養の被災ということだけでも気になるのだが、防府市は私の生まれ育った場所でもある。早速故郷の母親に連絡すると、あっという間に周囲の景色が以前と変わってしまったとのこと。被災した施設の職員が「骨折してもいいから早く全員を屋上へ」と叫んだというが、まさに一瞬の出来事であったことを物語っている。
 ふと2000年9月11日に発生した東海豪雨の日のことを思い出した。当時は幸楽荘に勤務していたが、居室内に入り込んだ雨水の対応に追われる中、急患が発生。救急隊を要請するも豪雨による交通途絶により、なかなか救急車が到着せず、災害対応と入居者対応でパニックとなったことがあった。
 同じ高齢者施設に勤務する者として、また防府出身者として1日も早い施設・地域の復旧・復興を願うのみである。

■考えさせられる言葉
2009/11/5
 基準省令「特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準」では基本方針として、「特別養護老人ホームは入所者の処遇に関する計画に基づき、可能な限り居宅における生活への復帰を念頭において・・・(略)・・・その有する能力に応じ、自立した日常生活を営むことができるようにすることを目指すものでなければならない。」とされている。
 しかしながら実情は、居宅において生活することが困難であるから特養へ入居される訳であって、元気になられて在宅復帰される方はほとんどみえない。
 待機されている方々から「いつごろ入居できますか?」という問合せを頂くが、こればかりは的確にお答えすることができない。今入居されている方のどなたかが退居されないと次の方は入居できないし、特養における退居とは即ち、ご逝去を意味するからである。もちろん退居理由は逝去だけでなく、長期入院等によるものもあるが、特養における退居理由の第1位は死去によるものである。
 当施設においても開設後、今日までの1年4カ月の間に3名の方とのお別れがあった。内2名は老衰ということもあって本人様やご家族の意向で施設内にて最期を看取らせて頂いた。
 先日、施設内で亡くなられた住人さんの身体を綺麗にさせて頂いた後、職員がポツリとつぶやいた。「亡くなった方の瞼を何度閉じようとしても開いてしまう方は、この世に未練のある方。口を何度閉じようとしても開いてしまう方は、この世に言い残したことがある方。○○さんは瞼も口も綺麗に閉じて穏やかな顔をされていたから、きっと良かったんですよね。」
職員一同、考えさせられる言葉だった。

■お祝いが言いたくて...
2009/11/29
 夕刻、事務所内で仕事をしていると1本の電話が鳴った。電話の主は隣接する幸楽荘の入居者さんであった。事務所前の公衆電話かららしい。
 主・・・「職員の○○さんはいらっしゃいますか?」
 私・・・「今日は休みですが、どうかされましたか?」
 主・・・「今日は○○さんの誕生日だから一言お祝いが言いたくて...」
 職員名簿で確認すると確かに今日が誕生日である。お祝いを言うために10円玉を握りしめて1階の公衆電話まで下りて来られたのであろう。その心遣いを嬉しく思うと同時に、そこまで思ってもらえる職員を羨ましく感じた。
 そして最後に、「来月は私の誕生日があるからね。」と言って電話を切った。

■ニヤリ・グッドレポート
2009/12/20
 医療・介護の現場では『ひやり・はっとレポート』という仕組みがある。リスクマネジメントにおける手法の1つで患者や入居者と接している中で、ひやっとしたり、はっとした出来事を報告することで事故の未然防止につなげようとするシステムであり、言わばマイナスを教訓にプラスに転じさせようとする考え方である。
 一方、プラスを更にプラスにしようとする考え方もある。先日お邪魔した県内のある施設では、職員のとった良い言動が一覧表として廊下に掲示されていた。職員同士、お互いの良いところを見つけて、認めて、褒めることによって職員のモチベーションを高め、職員同士の尊厳につなげようとしているとのこと。
 かの日本で一番楽しい場所、東京ディズニーリゾートでもキャスト(職員)の向上心を高める為に、ゲスト(入園者)への対応が素晴らしいキャストを褒めてあげたり、キャスト同士で対応の良かったキャストを選出、表彰してあげたり、幹部職員が園内を見回り、良い対応をしているキャストにカードを渡し、渡されたキャストは社主催ののパーティーに出席出来るといったシステムを行っているという。
 当施設でも全職員に意見を聞いてみたところ、「雰囲気を良くしようとするシステムなら大賛成!」ということで、ひやり・はっとレポートならぬ『ニヤリ・グッドレポート』を創設、日々の職員や入居者の言動で思わずニヤリとしたこと、感動したこと、感心したこと、これは皆にも教えたいと思ったこと等を報告、公表することとした。果たして効果は如何に? (ある職員は、「僕は褒められて伸びる子です!」と言っていたが...)


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